~The history of “Bottom WIND”~

『ボトムワインド』これはSOLDIRO代表の私が言い出した造語です。元々「ワインド」はオンスタックル社(https://www.oz-tackle.jp/)が開発した専用ルアー、ZZ Headとマナティを組み合わせデイシーバスの攻略で一躍脚光を浴びたテクニックです。フィッシュイーターが異次元の反応を示すジグザグダートアクションの代名詞となった「ワインド」は瞬く間に全国へ拡がり、シーバス・シイラ・サワラ・青物・タチウオ等を釣るための強力なテクニックとして知れ渡りました。もちろん私もその恩恵を受け、特にシーバスとシイラでは浜名湖で、遠州灘で、圧倒的な釣果を得ていたのも事実です。後述する釣りビジョンのソルトギャラリー撮影時にも戦略の主軸として使用していたので記憶にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そしてこの「ワインド」ですが、浜名湖でマゴチが非常に多く釣れた2008年、オンスタックル社のスタッフさんとの電話で「マゴチならワインドでも良く釣れますよ!」との情報をいただきました。それまではシャッドテール系ワームのヘビーダウンショットリグをメインに、タイラバやテールスピンジグ等でマゴチを釣っていたので、中層で使う「ワインド」でマゴチ?という半信半疑な思いがありました。ならば、これは検証しなければいけないということで、マゴチをワインドで釣っているという当時私と同じ某ブランドの契約プロスタッフということで仲良くさせていただいていた関根健太さんに連絡を取り教えていただくことに。

2008年10月21日、この日が後の『ボトムワインド』となる原形の釣りを実際に私が見た初めての日となり、その様子はブログ記事とYouTubeに現在でも残っています。そう、ここからボトムワインドの歴史は始まったのです。当時の記事と動画は下記のURLよりご覧いただけます。
https://onoken.hamazo.tv/e1519320.html

そして翌年2009年5月26日、自分なりのアレンジとアップデートを加えて臨んだのが釣りビジョンロケ。ソルトギャラリーへの出演ということで、バスギャラリーに続いてソルトでも1時間番組を任せていただけるという機会を得て、初めてカメラの前でマゴチを「ワインド」で釣ることに成功しました。おそらくこれが世の中にしっかりとした映像として初めて出ることになった『ボトムワインド』だったと思います。しかしこの当時はまだ、番組の中でもブログ記事でも「ワインド」とだけ言っています。そう、まだ造語は完成していないのです。
https://onoken.hamazo.tv/e1817384.html

しかしながらこの釣りビジョンの放映(2009年6月10日初回オンエア・11回のリピート放映)による反響は大きく、まだ現在のようにSNSが発達していない時代にも関わらずブログのDM機能を使いワインドに対する質問が私のもとへ多く寄せられることになりました。これを受け2009年9月19日にワインド講習会をボートクラブカナルにて開催させていただきましたが、この時のブログ記事でついに『ボトムワインド』というワードが出てきます。そう、おそらくこの講習会向けに中層を狙う「ワインド」とはまた別のテクニックとして、マゴチをボトムで狙うための「ワインド」ということで『ボトムワインド』という造語が生まれたのです。
https://onoken.hamazo.tv/e2011157.html

最近ではオンスタックル社が推奨するライトワインドで狙うメバルやカサゴ、アジなどナイトゲームがメインとなっていたターゲットを、デイゲームでも狙うことが出来るテクニックの名称として『ボトムワインド』が使われる場合も多く目にするようになりました。しかし、これらは2009年よりもずっと未来の話で、おそらく2016年前後からそう呼ばれるようになったと記憶しています。どちらにしても、『ボトムワインド』という造語がどんどん拡散されるようになったことは、私としては非常に嬉しく思っています。

話を浜名湖でのボトムワインドに戻すと、この2009年を境に翌年の2010年からまさにバブルと呼ぶに相応しい『ボトムワインド・バブル』が浜名湖で起こります。前年の釣りビジョンでのオンエアをきっかけに浜名湖内でボトムワインドを駆使するアングラーが激増、HOT(浜名湖オープントーナメント)のウイニングテクニックになるのは時間の問題と思っていた矢先の2010年HOT第3戦で早くも優勝者が出ます。まだHOT公式サイトが構築する前なのでブログ記事よりご覧ください。
https://onoken.hamazo.tv/e2619420.html

その過熱ぶりは凄まじく、さらに翌年の2011年HOT開幕戦もボトムワインドが無双状態。おそらくHOT史上最も記憶に残る優勝のひとつとなっている前原選手のボトムワインドでキャッチした2本の2kgオーバーの70cmクラスビッグマゴチは圧巻でした。
http://hamanako-open.com/results2011/2011A-01.html

さらにこの時、前原さんが公開してくれた新たな『ボトムワインド・メソッド』がこの後のボトムワインドの歴史の流れを大きく変化させた事は非常に大きかったです。私がやっていたボトムワインドはあくまでマゴチ仕様、マゴチ狙いのボトムワインドでした。フォールバイトをメインに据えることであくまで広範囲をスピーディーに探るためのワインドアクションであり、カラーについてもマゴチに効果的なアカキン、ピンク系、ホワイト系を多用していました。それに対してさらにアップデートされた前原さんのボトムワインドは、連続するジグザグダートのワインドアクションでターゲットを反応させ、マッチザベイトにカラーも寄せるリアクションと喰わせをミックスした新しい『ボトムワインド』スタイルでした。前原さんが発見した【キビレ&クロダイが釣れるダブルアクションのボトムワインド】と、劇的な釣果と安定感を備える【マナティ・MT-06ハゼカラー】は本当に大きかった。これが無かったらこの後の『ボトムワインド』の歴史は無かったかもしれません。それ程重要な出来事でした。
http://hamanako-open.com/sp/index01-maehara.html

このHOT2011開幕戦の結果を受け、上記の前原さんによる新たな『ボトムワインド・メソッド』が公開されると浜名湖の『ボトムワインド・バブル』はピークに。週末ともなればレンタルボートやマイボートが船団となり、時には50艇以上がひしめき合っていました。その中には元々のルアーアングラーだけではなく、普段はエサ釣りがメインの方や漁師さんの船も見受けられ、全員がボトムワインドをやっていました。そして、例外なく全員が釣れました。それほどまでにフィールドのポテンシャルとボトムワインドの力が強かったのです。当時は少しでも『ボトムワインド』というテクニックを皆さんに正しく理解してもらうために解説動画もアップさせていただき、12年経過した今なお再生数は伸び続けています。

こうなってくると進むのは使うルアーに関する工夫で、当時最も皆さんが試行錯誤していたのが口が小さく吸い込み系バイトではないキビレ&クロダイを高確率でフッキングに持ち込むアシストフックシステムでした。マゴチに関してもスッポ抜けが多く、セッティングするフックの種類やサイズなど10年以上前に大議論になったりもしました。現在でこそボトムワインド専用のアシストシステム専用パーツがオンスタックル社から発売されていますが、当時は私も自作したり試行錯誤しながら色々と模索していました。
https://onoken.hamazo.tv/e3677369.html

さらに白熱したのがそれまで中層をメインレンジとしてきた「ワインド」が『ボトムワインド』に派生したからにはもちろん強力に効くカラーも変わるだろう、と。ふと思った私はオンスタックル社に【ボトムワインド専用カラー】をリクエスト。常時中層でアクションさせるワインドと異なり、必ずボトムに接する時間を要するボトムワインドでは絶対にボトムコンタクト時の色彩変化やボディへの透過率変化が起こるはずなのでそれを計算に入れてプロトカラーを提案。2023年現在もロングセラーで皆さんに支持され続けている『アカハゼ』が誕生し、2012年6月10日テスト釣行2投目で結果を出しその後も圧倒的な釣果でプロトからほとんど変更することなく発売が決定。さらにテスト中に唯一アカハゼにキビレの釣果で圧倒したカラーとして『ボトムチャート』も同時発売が決まりいよいよ『ボトムワインド』のテクニック、ルアーが完璧に確立されていきました。
https://onoken.hamazo.tv/e3659551.html

そして2013年4月に満を持して『ボトムワインド』専用カラーのアカハゼ&ボトムチャートが発売開始。通常であればいくら人気があるルアーでも同一カラーを店頭に並べる数は限られると思いますが、当時の『ボトムワインド・バブル』の凄さを垣間見ることができる写真がブログ内にありました。ショップの商品棚をこれだけ占拠してもすぐに売り切れて、現在もなお売れ続けているロングセラー商品となったことには本当に感謝です。記憶に新しいところですが、この2013年以来実に10年ぶりに新たな『ボトムワインド』専用カラー「スカッパノンハゼ」と「グリパンチャート」を今年2023年に発売させていただき、今後もさらなる展開を考えています。
https://onoken.hamazo.tv/e4411706.html

さてこの年、2013年のHOT(浜名湖オープントーナメント)では『ボトムワインド』をメインに全4戦を釣った松田選手が見事年間チャンプに輝くなどまさにわずか数年で浜名湖の主軸となるテクニックに成長した『ボトムワインド』。HOT参加者のウエイイン率も押し上げる結果となり、ノーフィッシュで帰着する選手が激減したのもこの『ボトムワインド』の効果で間違いありません。マゴチとキビレを同じボトムワインドで釣り分けるエリアや時間帯の確立、アクションやセッティングの確立、トーナメントだからこそ進化する非常に洗練された『ボトムワインド』の成長が2013年以降は特に続くことになりました。
http://hamanako-open.com/2013ranking.html

この頃になるともはや『ボトムワインド』は浜名湖だけのテクニックではなくなってきます。SNSとYouTubeが急速に普及し、情報がリアルタイムで即全国に知れ渡る環境となったことから各地で『ボトムワインド』による釣果が目立つようになります。

特に私が運営する遊漁船に乗りに来てくださったお客様で、物凄いマゴチマニア、そして物凄い『ボトムワインド・マニア』に変貌した山口さんと本田さんのお二方。彼らは私のボトムワインド動画を見て実際にボトムワインドを学びに来られ、その後各地の遊漁船で『ボトムワインド』を広めてくれました。ターゲットも時にはマゴチだけではなく、根魚(ハタ系・ソイ系・アイナメ等)やオオニベも狙い日本各地北から南まで非常に広範囲に渡り『ボトムワインド』が有効であることを証明してくださいました。詳細は下記リンク先のオンスタックル社ブログをご覧ください。北海道各地・東京湾・相模湾・伊豆・新潟・山口宇部・高知・香川・宮崎等、あらゆるフィールドで『ボトムワインド』が炸裂しています。
https://suspendmasa.naturum.ne.jp/c20217369.html

再び話を浜名湖に戻すと、2018年から『ボトムワインドの歴史』において第二幕と言うべきステージに入ります。2014年以降になると『ボトムワインド・バブル』は一旦落ち着き、この頃よりマゴチが極端に釣れなくなり、キビレ&クロダイに関しても年々タフコンディションが進んでいきました。マゴチは単純に釣り過ぎとキープし過ぎによる個体数の激減が原因であり、これについては私自身リリースをもっと推奨すべきだったと反省しています。マゴチは成長速度が非常に遅く、60センチクラスで10年以上の年月を要する個体が多いようです。また、生涯にわたり生息域を大きく変えることは稀であり、一生の移動距離が極端に少ないのも特徴です。したがって、そのエリアのマゴチを釣り切ってリリースしなければ、他の海域からの移動による流入はほとんど無いので釣れなくなる、といった事になるのです。キビレ&クロダイに関してはマゴチよりも格段にプレッシャーに弱く、釣れる時間帯・エリア・アクション・カラーがどんどん狭くなっていった印象。『ボトムワインド』が流行り出した直後はだいたいのエリア、だいたいのアクション、適当なカラーで釣れていたのが、バチッと全てが嚙み合わないと釣れなくなったのです。

そんな中で『ボトムワインド』を2018年11月より始めたひとりのアングラーが歴史を動かしていきます。通常であればみんな試行錯誤しながら徐々にレベルアップしていくものですが、彼は違いました。私が通っていた高校の後輩ということで、HOTへ出場すべきか相談があったくらい彼の中では躊躇があったのかもしれない。ただ、結果はデビューの2019年開幕戦をいきなり『ボトムワインド』で優勝しそのままその年のHOT年間チャンプまで獲得すると、続けて2020年にも2年連続のHOT年間チャンプに輝きました。瞬く間に浜名湖のトップボトムワインダーに躍り出たのは柳館慶治さん。彼の『ボトムワインド』はこれまでのものと比較して極めて繊細でした。まさにハイプレッシャー化した浜名湖で確実にスコアメイク出来る、時代にマッチした『ボトムワインド』だったのです。この2年、HOTでの戦略はほぼ全てが『ボトムワインド』。他の釣り方と組み合わせて年間チャンプを獲得したのではなく、『ボトムワインド』のみにこだわり抜いた結果だったのが私にとっても非常に衝撃的でした。やはり、『ボトムワインド』の破壊力は凄まじい・・・。と、改めて思いました。
https://www.fishingdependence.com/

そしてまたまた全国に目を向けると、『ボトムワインド』というテクニックが各地でアップデートされています。北海道の積丹ではヒラメを『ボトムワインド』で狙うことができ、東京湾ではエサ釣りメインのマゴチ乗合大型船によるルアーマゴチとしてスイミング(リフト&フォール)テクニックと並んで『ボトムワインド』がメインテクニックになることも多く、伊勢湾や瀬戸内海、北陸から山陰、九州各地でも『ボトムワインド』がその地域に最適な方法で進化しているのです。

そのような状況の中、SOLDIROではこの『ボトムワインドの歴史』をすべて見てきた私自身が完全監修で企画を行い、25年以上前からの同士であり釣竿設計では間違いなく国内トップレベルのぱお(ハンドルネーム)さんへ設計・デザインを依頼。徹底したテストを経て企画開始から4年以上の歳月を費やして完成したのが『ボトムワインド専用ロッド』EDGERIDEシリーズです。